モバイル通信への周波数割当について(3)

1.9/2.1GHz帯と2.5/2.6GHz帯

最後に、2GHz以上の帯域についてです。1.9/2.1GHz帯は世界的に3G通信のメインバンドです。また、2.5/2.6GHz帯は今後高速モバイルデータ通信のメインバンドになりそうな帯域です。欧州ではLTEのメインバンドとして整理が行われています。それでは、個々に見てみましょう

1.9/2.1GHz帯

国内外を問わず、3G携帯のメインバンドです。ここ数年、海外に携帯端末を持って行ってもそのままローミングされるのはこの帯域のおかげによるところが大きいです。各社20MHzx2の帯域幅で合計120MHzも割り当てられていますが、一方で現在最も混雑している帯域でもあります。このため、Docomoでは800MHz帯で補完を、SoftBankではWifiスポットの大量設置でトラフィックの迂回をさせる等、必死にトラフィック削減対策を行っています。AUは800MHz帯をメインバンドとして1.9/2.1GHz帯は都市部の補完に使っているため、比較的余裕があるのかも知れませんが。成熟したバンドなので、今後もしばらく大きな変化はなさそうです。

2.5/2.6GHz帯

今後高速モバイルデータ通信のメインバンドになりそうな帯域です。日本ではすでにUQWiMAXを使って下り40Mbpsの高速通信を実現しています。カバーエリアもそれなりに実用になるレベルになってきました。また、SoftBankが旧Willcomが持っていた帯域を使用してTD-LTEこと、AXGPで下り110Mbpsのサービスを提供開始しました。WiMAXもTD-LTEもどちらもTDD系列の通信規格のため、国内ではTDDだらけになりそうです。

一方、欧州・北米は当バンドをLTEのメインバンドとするべく整理しているため、FDD-up 70MHz, TDD 60MHZ, FDD-down 70MHzと、FDD,TDDを混在させつつ全200MHzを全てがモバイル通信に割り当てられる予定です。もうLTEのチップはFDD,TDD両対応でモデルが生産されるようになっているので、おそらく今後は、国内SoftBankでも海外でも使える端末が出てくると思われます(SIM Freeであれば)。

WiMAXは国内では普及していますが、国外で共通運用できる端末が出てくるかは未知数です。ちなみに、UQはさらに追加30MHzを確保して、合計60MHz帯域でWiMAX2を行う計画であるとか。実現すれば下り330Mbpsというもはや固定回線すら置き換えてしまいそうなサービスになるようです。


そんなわけで、ずらずらと書きましたが、少しでも参考になればと思います。ちなみに、あまり端末を買い換えない私は、端末選びの際に通信規格と対応周波数帯を確認してます。今だと、GSM-1800及びWCDMA 1.9/2.1GHz帯に対応している端末だと世界中ほぼどこでも使えます。今後LTE対応機種にするなら… SoftBankの900MHz,2.5/2.6GHz両対応みたいな端末が出てくれば長く使えそうですかね。実際には、通信費用やら対応エリアやら考慮すべき事はたくさんあるので、一概にどれがベストとは言いませんが。